Spiral【完】


だから、野波さんが駒谷課長を好きだとしても納得だ。
納得なのだけれど。

「なんか、さ。違う気がするんだよ」

味噌汁をごくごくというよりぐびぐび飲んでいる矢野は、目で“なにが?”と答えた。

野波さんは綺麗だ。
化粧っけがなくて、地味だという輩もいるが、俺はそうは思わない。

庶務課の頃はいつも社内をバタパタと懸命に走り回っていた。
そんな野波さんとは時々雑談を交わす程度だったけれど、彼女にはいつもどこか愁いのようなものを感じていた。

「駒谷課長の彼女って感じがしないんだよ」

「そうか?」

確かに2人の噂は蔓延したし、野波さんが二股をかけているなんて酷い中傷もあったけれど。
駒谷課長が野波さんを庶務課から事業部に引っ張ってきたことで、やはり2人は付き合っているんだということで噂は終息した。


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