Spiral【完】

─ 5.


翌週になっても、相変わらずろくに会話もしてくれない蒔田さんから終業間際に度々仕事を言い渡された。

もはや諦めて、私は反論もせずに溜め込まれたことが明らかな伝票の山を整理をしていた。

社内を走り回る仕事ならともかく、私はExcelを使った計算関係の事務作業が得意ではない。
慣れていないため、いちいち時間がかかる。
きちんと終わらせるには、とにかく丁寧にやるしかない。

今夜も総務部のフロアには私以外に誰もいなかった。


時計が22時を回った頃。
ガチャっと出入口の扉が開いた。
ついビクッと肩をあげてしまう。

「野波さん?」

扉を振り向くと駒谷課長が立っていた。

「お疲れ様です」

気まずくて、私はすぐに自分のデスクに向き直った。
どうしてこんな時間に?
聞かれなくても、駒谷課長の言いたいことはわかる。


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