華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /自分の気持ち


煌は世津さんに言われてマリアンヌに来たらしい。



いますぐ来いとすごい剣幕で言われて、よくわからないまま会議を飛び出してきたんだって。






「よくわからないまま……?」




隣を歩く煌を見上げながらくすっと笑ってしまった。



そんな私を見て、煌も仕方ないって感じで肩をすくめる。




「仕方ないだろ。安寿が大変なことになったって聞いたから、驚いたんだ」




世津さんは、もちろん私がいる男装執事カフェまでお友達と一緒に遊びに来てくれて

さらに私が『薔薇乙女』の候補にあがっていることを聞き、絶対に煌に言わなきゃって思ったみたい。



それで煌が来てくれたなんて信じられないけど……

今は世津さんに抱きついて、ありがとうって叫びたいくらい嬉しかった。




煌と私が並んで歩くのを見て、みんなささやきあってる。



どう思われてるのかな。

さっきの騒動を知らない人にも、私たちは恋人同士に見えるのかな……。


悪いな、と思うと同時に、嬉しいという気持ちを抑えきれない自分が複雑だ。




「――とにかく。今から帰社すると六車と顔を合わせるのが気まずい」



冗談混じりにため息をつき、煌は校門で立ち止まって私を振り返った。




「安寿」

「はい」

「――学校は……辛くないか」




優しい目だ。




「いいえ、ちっとも」



にっこり笑って、首を振った。




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