華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /心の叫び


◆煌side




長い会議を終えて副社長室に戻る途中、六車が慌てたように駆け寄ってきた。




「若……」




沈着冷静を絵に描いたような男の六車が、ひどく焦っていること自体が珍しい。




「どうした?」




廊下の途中で立ち止まると



「とりあえずお入り下さい」



背中を押されて副社長室に押し込められる。




「――つい五分ほど前です。警察から連絡がありました」

「警察?」




思わず眉根が寄った。




「例の窃盗団が捕まったのか?」




何年か前、銀座の店舗が襲われて靴を100足盗まれたことがある。



シャンテの被害は数千万円

けれど宝石でもない、靴を100足盗んでいったということで、当時は相当ニュースになった。




「いえ、そうではなくて……」




六車は一瞬間をおき、それから慎重に口を開いた。




「安寿さんが誘拐された疑いがあるということです」

「――」




衝撃が大きすぎると声も出なくなるのか。



こいつはいったいなにを言っているんだと呆然と六車を見つめる。



六車はそんな俺を見て、さらに言葉を続けた。





0
  • しおりをはさむ
  • 41435
  • 1896
/ 480ページ
このページを編集する