華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /お姫様になりたかった


街路樹はクリスマスイルミネーションで飾られ、自分のためのご褒美や、誰かへのプレゼントを手にした人々は、みんな明るい顔をしている。



それに引き替え、私の持ち物は古ぼけたトランク一つ。


中身は何足かの靴と洋服。ママの写真や日記。そして煌に貰ったブローチ。



トランクをゴロゴロしながら歩いて変に思われないかと思ったけれど、特に目立ちはしなかった。



たまたま目に入ったコーヒーチェーン店に入り、ココアを注文し、あまり人目につかない席に座る。




これからどうしよう……。


お屋敷を出たはいいけれど、どこに行ったらいいんだろう……。



つい先日アルバイト代が振り込まれたけれど、衣食住がどうにかなるような金額じゃない。


一瞬、久乃の顔が頭によぎったけれど、連絡出来るはずがない。




住むところは?

学校は?



出席日数は足りているはずとは思うけど、急に学校に行かなくなっても卒業扱いになるんだろうか。


自分から出ていったくせに、一人ぼっちになったことが現実味がなく、信じられなかった。




親も兄弟もいない。

頼れる人もいない。




けれどもし煌に拾われなかったら――


もっと早い段階でこうなっていたのかもしれないんだ。




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