華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /食事よりも先に君をいただく


華麗な容姿から放たれる衝撃的な言葉に硬直する。



今、彼はなんて……?



ある程度のことは想像していたはずなのに。彼がなにを言ったのか一瞬理解出来なかった。



硬直する私をよそに。煌は私の手を引いて階段を上ったさきを左へ曲がり、部屋へと入る。


広さは変わらないけれど、私の部屋より落ち着いた雰囲気の調度品が並んでいた。




「ベッドは奥だ」




豪徳寺煌は私の肩を抱き寄せ、耳元でささやき。そのまま続き部屋の寝室へと向かう。



彼の言葉に足元から緊張が駆け上ってきた。




「あ、あの」




もちろんそのつもりだったし、それでいいのだけれど、迷いのない様子の豪徳寺煌に戸惑ってしまう。



混乱しつつ肩越しに振り返ると


「なに?」


豪徳寺煌は片手でネクタイを緩めながら私を見つめ返した。



彼の大きな手。

ネクタイを緩めるだけのこの動作が妙に色っぽく映るのはなぜだろう。




「お……お食事は?」




こんな状況で何を言っているのだと情けなくなるけれど

このまま流されるのが怖くて、とっさにそんなことを口走っていた。




「あとで。先に君をいただくことにする」




彼は唇の端を持ち上げるようにして薄く笑い、そして一人でベッドへと近づく。



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