華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /おまけ







卒業後


アルバイトを続けながら、調理師学校の夜間カリキュラムに通うことを決めた私。



アルバイトを続ける、学校は夜間。


どっちも気に入らない煌は、この話を持ち出してからずっと渋い顔をしている。



だけど私を首にしなかった久乃の彼のご厚意を、これ以上無駄にはしたくない。


昼間働いて、夜、学校に通う。

そう決めた。




「それにね、私は社会勉強が必要でしょう?」

「社会勉強ね……」




煌はもう百回はこんな深いため息をついている。


学校に通うことは反対されなかった。


だけど色々心配らしい。



彼の視線は、私からすでに窓の外の庭に向けられていた。


きっと私の強情ぶりに呆れているんだろう。



端整な横顔は憂いに満ちている。



彼には申し訳ないけれど、こんな煌を見るのも悪くない。なんて思ったりする私は、悪い女なんだろうか。




先週二人で買いに行った現代陶芸家のティーカップ。

透き通って見えるんじゃないかと思うほど薄く、繊細で。けれど硬質な白磁。

やっぱり煌に似合う。

あのカップは煌にこうやって使ってもらうために、この世界に誕生したんだ。




「――なにを笑ってるんだ?」



煌がちらりと目の端で私を見つめ、カップをテーブルの上に置く。



笑ってる?



思わず頬に手のひらを乗せた。




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