華麗な野獣と愛人契約【完】

Footprints on the sands of time are not made by sitting down. /愛人の価値

煌side






「ありがとうございました」




頭を下げて車を降り、300メートルほどさきの学校へと向かう安寿。



背中が見えなくなるまで見送っていたというのに、一度も振り返らなかった。



なにをやってるんだろうな、俺は……。




「はぁ……」




ハンドルにもたれて一つため息。


昨夜は騙されたことに腹を立て、苛立ちの中何度も安寿を抱いた。


痛い目に合わせてやると思ったのも束の間、少しでも辛そうな顔を見ると自己嫌悪が募った。


そもそも抱きたいと思う時点で安寿の思うつぼなんだ。


俺は最初からあの女に負けている。


ことが終わったあとも、なかなか寝付けずに腕の中の安寿を見つめていた。



死んだように眠るから恐ろしくなったというのもあるし

認めたくはないが、なにより俺の腕の中で眠る安寿をなんとなく眺めていたい気分だったから。




なめらかな肩のライン

美しい巻き毛

見事な曲線美




古今東西、世界中の画家が彼女の裸婦像を描きたがるだろう。



正直俺だって額に入れて飾っておきたい気分になったし

できればいつまでも腕の中に閉じ込めておきたいとさえ考えていた。



最悪な状況だ。




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