私を愛して【完】






“アイツ”俺の婚約者のことを秘書に問うと秘書は眼鏡を中指で上げると「必ず来ると思います」と俺が求めていた逆の言葉を差し出した。



深いため息をつけば「社長」と呼ばれ顔を上げた。




「あの方が来られましたら私が蹴散らしますがあの方は我儘で傲慢でプライドの高いお方です。必ずここに来ようとするでしょう」




その通りだろうな。


俺よりも下の存在なのに無駄にプライドが高い女。



婚約者は俺が12歳の時に親が決めた相手で、俺が仮名序を好きなわけでもなく俺自身にも会社にも大きなメリットがあるわけでもない。


彼女に興味の欠片もなく抱こうと思う気にもなれない。



俺にメリットはないが彼女やその親には大きなメリットがある。


彼女の親に婚約破棄の話を前々から持ちかけてはいるが頑なに首を縦に振ってはくれず、これからも振る気はないように思える。




彼女自身もまた“花京院 文人”と言う男を離さまいと破棄を認めずほぼ毎日のように会社に訪れる。




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