できさせちゃった結婚

和解



葵さんが帰ってきた。



玄関のドアが開く音がして、その場に座っていた私も立ち上がり、キッチンへと向かう。



まだ温めなおしていない料理たちを温めなおす。





「ただいま」




リビングのドアが開いた瞬間、会いたかった人の声がする。





「おかえりなさい」





考えるより先に言葉に出ていた。
居心地の良い雰囲気に相反して、心の中ではまだ葵さんの気持ちを探っている。





「ご飯、楽しみにしていた」




「口に合わなかったらごめんなさい」




寒かった外を温めてほしいとの思いを込めてホワイトシチューを作ってきた。





「まってね、今温め直してる」




「あぁ、そのうちに着替えてるよ」




まるで新婚夫婦のような会話も今は少しぎこちない。




これが食べ終わったら、彼の気持ちを聞かないと。
覚悟を決めた。
まだ傷は浅い。
ここで終わるにしたってこれからがあるし、と振られた時の傷つかない保険として、自分に言い聞かせた。




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