一ノ瀬さん家の家庭事情。【完】

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「よっこらせ!」

って、あたしはおばあちゃんか!

でもこの薪、重いんだもん。

「ははっ、その掛け声、うちのばあちゃんと同じ。」

後ろから聞こえてきたその声に、あたしはばっと振り返る。

「気合入れてたの!」

こうでもしなきゃ、持ち上がりそうにないんだから!

「つうか一ノ瀬が薪とか、危険すぎる。俺が持っていくから貸して。」

そしてあたしの手からヒョイッと薪を持ってってしまう。

「ありがと、久住君。」

「つうかほかの奴らは?」

「今、野外炊事の準備に行ってる。」

今日は秋の野外研修の日。

一年生5クラスは学校近くの山に朝から二時間かけて登り、そして今から野外炊事の定番、カレーを班ごとに分かれて作る。

「愛ー!優大!こっちこっち!」

ほのちゃんが手を振ってる。

「ほのちゃーん!」

あたしは走りだして、そして案の定石に躓いた。

「ひゃっ!」

危ない!と思った時にはすでに遅くて。

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