一ノ瀬さん家の家庭事情。【完】

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「どうしたんだ、愛。なんか元気ないな。」

りっちゃんがあたしの顔を覗き込みながら言う。

さっきの先生からの話が頭の中をグルグル回って、せっかくのシチューの味もわからない。

「向こうの家で何かあったの?」

優兄も心配そうにあたしを見てきて。

あの話、みんなに話したほうがいいのかな。

でもいずれ話さなきゃいけないことだもん。

…よし!

「あのね、実は…」

あたしは全部を話した。

先生からされた話。

誠司さんのこと。

りっちゃんも優兄も真兄も、そして玲も黙ったままあたしの話を聞いていた。

全部話し終える頃には目の前のシチューはすっかり冷めていた。

「…そっか。そんなことを…」

りっちゃんは静かにそう言うと、席を立ち上がった。

そしてあたしの目の前に立った。

その目はすごく怖かった。

こんなりっちゃん見たの、初めて。

「愛は、どうしたい?愛は何を思ってる?ちゃんと全部聞かせて。」

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