拝啓

M




俺の背中に顔を隠して、彼女は言いました。


少し震えているのは、怯えのせいでしょうか。



重心を崩して、それを支えようとした彼女の肩にもたれかかれば。


下から見上げた彼女の瞳は、少し揺れていました。





『ずっと一緒だよ』





彼女は眉を寄せて微笑みます。


ありがとう、と言った彼女は、お世辞だとでも思っているのでしょう。





『さっそく明日、行きますか』

『…行く?』

『もらいに行かないと、ないから』

『何が?』

『婚姻届』

『…、』





彼女は固まりました。


愛しいばかりで、笑みが勝手に溢れます。

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