幼なじみⅡ―《完結》―

●引っ越し● /-遥side-


「……え?」

「あれ、聞いてなかったの?」

お母さんにそう首を傾げられて、私は首を振る。

明日、拓也が引っ越しだと由香理ちゃんに聞いたらしいのだ。

自分からそれを勧めたくせに、いざ、そうと分かったら泣きそうになった。


別れてからも、拓也の声が聞きたくて何回も電話しようと思った。

やっぱりよりを戻したいと何回も思ったし、帰ってる筈のない時間帯だと分かってるのに矢野家に何度も遊びに行ったりした。

でも、電話は出来なかった。

私は、拓也の為に最善の事をしたと思ってる。

良かった。とそう思うのに、拓也の中で、私の事はもうどうでもいいのかも知れないな、と不安になる。


「お母さん、私が拓也に勧めたの」
「ん?」
「大学の近くに引っ越したら?って」


何もない机を見ながらそう言ったら、今まで食器を拭いていたお母さんが私の前に座った。

  • しおりをはさむ
  • 182
  • 177
/ 328ページ
このページを編集する