atrocious

1 /夜





▹▸▹▸▹▸




―――夜、それは毎日必ず誰にでも。平等に訪れるもの

―――365日、世界中で、休むことなく

―――そう、






「屑と喋るほど暇じゃないんだけど」



質の悪い、男にも。







「てめえからぶつかってきておいて、謝罪の一つも
ねえのかよ?」




夜の繁華街の一角にて、時刻はあと数分でてっぺんを
超える。そんな時間に対峙する複数の男たち。

どうやら、三人組のうちの一人が、すれ違いざま肩がぶつかったらしい。ぶつかってきた相手―――
いや、正しくは自分〝が〟ぶつかった相手の第一声が冒頭のアレで。


男たちはその男を囲うように、道の端へとおいやる。


そんな見知らぬ男たちに絡まれる状況、一人ではどうすることもなく萎縮してしまうのが一般的な反応だろう。




「ねえ日本語で話してくれる?」



この男のごとく嘲笑うように、鼻で笑う人は。
そうそういない。



「あ?なに、笑ってんだてめえ」

「…………」

「今度は黙りか?つーか、顔上げろよ」


ぺらぺらと萎縮なんて欠片も無い様子で話すのに、
男たちがムカつかないはずがなく。胸ぐらを掴みあげ
ようと、手を伸ばす―――






「アンタ誰に向かって言ってんの」

「っっ、!!」





当たりに響いたのは、呻き声と。


恐ろしいほど、冷たい声だけ。








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