「これはお前の妄想だ。
 だから、安心して、我に従え」

「いや……なんでそんな悪霊っぽいしゃべり方なんですか」

 小学校を卒業したばかりの柊なつのは悩んでいた。


 これは小学校の春休みなのか。


 それとも、中学校の春休みなのか。


「……すさまじく、どうでもいいな」

とイケメンだが、一言多い仁岡塔也におか とうやに言われながら、春休みを過ごしていた、なつのだったが。



 ある日、いつも抱いて寝ている、うさぎのクッションがしゃべり出した。


「うさぎがしゃべった!」

と驚くなつのに、うさぎが言う。


「これはお前の妄想だ。

 だから、安心して、我に従え」


「いや……なんでそんな悪霊っぽいしゃべり方なんですか」


 うさぎのクッションと落ち武者の霊と、仁岡となつのの十四日間――。