PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /*






─ 保side ─









「本当に会うだけでいいんだぞ」


朱織に念を押すと『わかってる』の返事とともに「コーヒーばっかり飲みすぎちゃだめだよ」と痛いところをつかれてしまった。


止めるいつもの交差点。学校に向かう朱織の後姿を見送る。


上下紺色の地味な制服、化粧せず長く伸びた髪をふたつに結ぶ。


にも関わらず、すれ違うひとが一様に朱織に目を向ける。


朱織が通う『緑川学園』


そのノスタルジックな名前とは対照的に、日本だけではなくアジアでもトップクラスの進学校として名を馳せていて


歴代の首相、官僚、有名企業のトップ、ノーベル賞受賞者達…


最終学歴に目を向けがちだが、この社会を動かす大人物達は、緑川学園を卒業している。


世界各国から優秀な生徒が集まる緑川は、大方の学生は広大な敷地内に在る学生寮から通い。


それ故に朝から緑川に通う生徒の姿は貴重らしく、物珍しさや特殊な者として見られる機会が多い。


朱織はモデルの仕事をしていて世間に顔を知られている所為でもあるんだが……


なんと表現したらよいのか。


外見の美しさもさる事ながら、雰囲気なんてチープな言葉ではなく、オーラ……纏う何かに心を奪われてしまう。

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