PURPLE Ⅰ【完】

静寂な空間が震える。


「アオ…電話」


長い間震えているそれは、苛立っているようで


面倒くさそうに取り出すアオ。


「ああ?如月にやらせろよ!」


アオの口から知らない人の名が紡ぎだされる。


たったそれだけのことだけど……


過ごしてきた日々、世界、出逢った人、感じた事、悩んだ事、辛かった事


離れていた日々の生活が、私だけでなくアオにもあり


それは当たり前だけど……なんだか寂しいと感じる私は、独占欲に縛られた、くだらない人間なんだろう。


「シュウごめん」


しょんぼり尾の下がったアオが可愛くて頭を撫でる。


「どうしたの?」


「放課後無理になった…シュウの家行けない」


放課後を心待ちにしていたアオ。


「そっか…残念だけど、また次があるよ」


同じように楽しみにしていた私の心情が、頭を撫でていた手を止める。


アオはその手を取り頬に寄せて、


「ごめん明日は大丈夫だから…」






でも結局その言葉もただの甘言となった。


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