PURPLE Ⅰ【完】

「わかった。シュウ…──」


アオからの返事がそこで消えた。


階段を下りながら前は見ていたけれど、意識はアオとの電話で。


タッタッタッと近づく足音も、駅だから不思議に思えず。


それに、その日は気もそぞろで…











降りるための足が地に着かず宙を彷徨う。


もしかして『きゃあー』と叫んだのかもしれない。


騙し討ちのような出来事に、声さえも出なかったのかもしれない。


ただ、すごく遠くから


『シュウ』と呼ぶアオの声が


私を呼んでるその声だけが耳に届いた。


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