PURPLE Ⅰ【完】

第2章 /烈火

意識が浮上すると痛みが走った。


すぐに状況を確かめる余裕もなく顔が歪む。


「おや?目が覚めたかい?」


聞き覚えのない声に、思わず緊張して閉じていた意識を開く。


薬の匂い……白衣の男性……


「ここは?」


理解はできていたけど確かめたかった。


「病院だよ。何があったか憶えているかね?」


「……はい。駅の階段で足を滑らせ……」


その説明に、医師である男性は少し驚いたような反応をみせ


「ふぅ……さすが一之瀬組のお嫁さんだけあって思慮深いお嬢さんだ」


「……」


その意味がわからず黙りこむ。


「私は高科だ。一之瀬のお抱え医師だと説明すればわかるかね?」


「…はい。ご迷惑をお掛けしました。もう大丈夫です」


帰ろうと、身体を起こそうとするけれど痛みがそれを妨げる。


「こら!まだ検査もしていない。頭も打っている可能性があるんだぞ。大人しくそこで寝ていなさい!」


僅かな口答えも許さない、そんな態度の医師は次々と看護師に指示を出す。

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