PURPLE Ⅰ【完】

第2章 /内実

高科先生の許可が下り、午前中には退院できた。


たった数日家を空けていただけなのにひどく久しぶりに感じ、空気が止まったままの部屋の窓を開け庭にへと出る。


眼下に広がる街をボンヤリと眺めていると受信を知らせる音が聞こえ


それは待ち望んでいたアオからで


『退院祝い、オレも行くから』


そんな短い文だけど


悶々としていた思いを払拭してくれるのには十分だった。


保さんの車で一之瀬へ向かう。


待っていてくれたのはドアマン由利と


この男……


「姫~」


ロイドで…


いつものお決まりの手にキスの挨拶ではなく、頬と頬との挨拶の嵐で。


「姫ご無事でよかったです。この数日生きた心地しませんでした。わたくしに、このような苦痛を与えて喜ぶなんて…
…姫はなんて小悪魔なんでしょう」


全くもって、これっぽっちも、さっぱり理解できないロイに


「もういい加減離して」


ロイの身体を押し拒否すると、何故だか頬を少し染めブルーの瞳をキラキラさせる。


やはり、どう頑張っても理解不能なロイに呆れつつ由利さんの元にへと…


「どうしたんですか?そのアザ」


片方の頬が青紫に変色していて。


「ぶつけてしまいまして。めでたい席に見苦しい顔ですみません」


由利さんが殴られた事実を隠す理由に心当たりがあり。


心当たりか私が原因だろうその跡に、今ここで由利さんに謝罪をしても、きっと喜んでもらえず


彼のプライドを傷つけそうで黙って後をついて歩いた。


案内されたリビングに着く間、ロイの『姫~ ひぃめぇ~』攻撃が続き。


ウンザリして横目でチラリと睨むと、その度にロイは嬉しそうで。


諦め最後には声を出し笑ってしまった。

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