PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /お見合い当日② 心馳せ

話声が聞こえる……


「あー高木様、大変です。Rotさんが.....」


あの声は一番若手の着付けスタッフだろう、混乱しているのがわかる。


「朱織!!」


珍しく焦った声で保さんが近づいてくると、座っている椅子の前に跪き、手で顔を覆っている私の頬に優しく手を伸ばした。


「真っ青だ」


「高木様、申し訳ございません。お嬢様は貧血を起こされたようでして、医者をお呼びしようと思ったのですが、少し休めば大丈夫だと......ですがやはり診てもらったほうがよろしいのでは?」


保さんはスタッフの女性が説明している間も私から目を離すこともせず


女性スタッフの提案を拒否する意味で顔を左右に動かした。


保さんはスッと立ち上がり、内ポケットから財布を取り出しお金を抜くと


「暫く休ませたら大丈夫だろう。すまないがこれでコーヒーでも飲んできてくれないか」


「わかりました」


女性は一瞬躊躇した様子だったが、お金を受け取るとスタッフを連れて部屋から出て行った。


「ありがとう保さん」


「でも本当に大丈夫か?」


「うん。時間大丈夫?」


「時間なら大丈夫だ。場所はここから近いし余っているぐらいだよ」


心配そうに微笑む彼には、具合が悪くなった訳もお見通しなのかもしれない。



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