PURPLE Ⅰ【完】

「運動会が?」


手を動かしながらも、右京さんは聞き返す。


「はい。まぁ運動会が特になんですが……軍隊のような一糸乱れぬ行進も演目も暑い中何度も行う練習も、何もかもが嫌で」


「うんうん わかるよ」


「小学6年の運動会は組体操をしたんです」


『うんうん』と笑いながら右京さんは頷いてくれる


「それこそ何度も練習をさせられて、それで最後にピラミッドをつくるんです」


酔った勢いで腕を大きく広げ、ピラミッドの大きさをアピールすると、右京さんは『へぇ~』と反応を示し


「私は下から2番目の段で、踏みつけられ痛くて重たくて……もうピラミッドの一番上の男の子なんか『眺めがいい』なんて踏ん反り返って偉そうにして、
でもある日、事故が起こったんです」


「事故?」


「はい。練習中にピラミッドが崩れ、一番上の子が落ちてしまって、結局は違う子が頂上に乗ることになったんです」


グラスに注がれる液体


「その事故で気が付いたんです。一番上にいる子を生かすも殺すも、私達次第なんだって」


「……」


「下にいる人のサジ加減で、頂上に立つ子もピラミッドの成功も、どうにでも出来るんだって……
そう考えると練習も土台になるのも苦じゃなくなりました」


右京さんは出来上がったカクテルをイッキに飲み干すと、グラスを置き『悪くないね』と微笑んだ。


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