PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /お見合い当日③ 料亭

すれ違う車が譲り合うほどの道を左に曲がり、緩やかな坂道を上りきると現れた風雅な門。


吸い寄せられるかのように通り抜けると重厚感あふれる美しい数寄屋造りの建物が見えてきた。


掃き清められた玄関。黒服の如何にもといった男性が近づき『お疲れ様です』とドアを開けた。


慣れない着物に動きを制限されモタモタしている私に、女性のように白くて美しい手がスッと差し出された。


「ロイ!お前も来ていたのか?」


保さんが呆れたように私の手を握ったままの男性に声を掛ける。


「勿論ですよ先生。我らの美しい姫に最初にご挨拶をしたかったものですから」


彼の美しく澄んだブルーの瞳が私を捉え


「はじめまして姫。Lloyd(ロイド)と申します。どうぞロイとお呼びください」


そう妖艶に微笑んで右手にキスの挨拶をする。


保さんに引き取られるまでは外国で育ったとはいえ映画の中でしか見られない挨拶をされると......さすがに戸惑い。


けれどもその動作は美しい顔立ちと高貴な雰囲気の彼にはとても似合っていて。


「ご挨拶有難うございます。急ぎますので失礼致します」


そう微笑み返していた。



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