PURPLE Ⅰ【完】

「それが理由ですか?」


「あ?」


「会長の誕生日パーティー、まだ朱織殿をお誘いしていないのは?」


「あぁ…それもある。朱織はオレの大事なコマだ。利用するには色々と理解しとかねえと」


「大事なコマですか」


由利は含んだような言い方をする。


「ああ…あいつはオレのだ」


車は煌びやかなネオン街を通り抜ける。


こんな人工的な光の街に着き、落ち着いてくる自分も相当イカレている。


「朱織殿のマンションに行かれますか?」


「いや、いい」


時計は深夜3時を回っている。


朱織はもう寝ているだろう。


目を閉じ車のシートに凭れると、あいつの笑顔が浮かんだ。


──途端に何かが溢れる。


温い何かに包まれているような…


朱織が傍にいると包まれるモノの名前をオレは知らない。


きっとオレには似合わない、必要ないモノを解き明かすことなく放置している。


「若」


「……」


「近いうち朱織殿とゆっくりできるようスケジュールを調整します」




「…………ああ…たのむ」










―― close ――





0
  • しおりをはさむ
  • 1341
  • 5830
/ 314ページ
このページを編集する