PURPLE Ⅰ【完】

「まったくロイは......」


つぶやき気抜けする保さんが可愛くも、そして可笑しくもあり、クスクスと笑いながら後をついて行く。


玄関に入ると藤色の着物を着た女将らしき女性が三つ指を突いて挨拶をしてくれ、日本的な挨拶にホッとしていると保さんと目が合った。


きっと彼も同じ気持ちなんだろう、お互いに笑みがこぼれる。


畳敷きの広いロビー中央には豪華な花が活けられ、奥の坪庭に春の光が降り注ぎ白い玉砂利が美しく輝く。


「先方様がお待ちです。ご案内いたします」







ごめんねママ。


この世界に足を踏み入れる私を保さんも望んでいない事はわかっている。


「ごめんなさい」


保さんの背中にそっと呟くと真っ直ぐ前を見つめ、背筋を伸ばし廊下を進んだ。




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