PURPLE Ⅰ【完】

あの日、蒼天の部屋に入ったオレは一枚の写真に釘付けになった。


真白いワンピースに身を包んだ女が、一面砂漠のような場所に立ち、昼間の月を仰ぎ手をのばす写真。


子供なのか大人なのか、生も死も感じ伝わらないソイツは、おぼろげで美しく。


まるで女神のようなソイツに訳わかんねえけど目が離せなかった。


しばらくして、それに似た写真が宣伝用 に街中に貼り出されたけれど


そこに写るソイツはニッコリ笑っているだけのつまらないもので。


オレの見た写真は蒼天が裏から手をまわして入手したことも


ソイツが『Rot』というモデルということも


『オレの宝物』――蒼天の言葉の本当の意味も今になって理解できた。


京悟の婚約者として、オレの前に現れたこいつ


むかついた。


ただの女に成り下がったようで身体が怒りで震えた。


神聖だったコイツが、オレの居る世界に存在を誇示してきたようで認めたくなかった。



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