PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /お見合い当日④ 一之瀬 京悟

「こちらのお部屋です」


女将が静かに障子を開ける。


保さんが待たせてしまったことへのお詫びをしている間、少し後ろで一緒に頭を下げる。


「なに保、こんなに美しいお嬢さんに会えるなら何時間でも待っているさ。さあ頭を上げてこっちに」


年配の男性から声が掛かり、保さんが頭を上げる気配がしたので頭を上げると


途端、射抜くまなざし


目を逸らせない───


捕らわれた先には写真に写る彼がいて。


違う……写真に写る彼と比べ物にならない。


自分が過小評価していたことに気が付く。


整い過ぎた顔立ち。


長めの黒髪を後ろで一つに結び、届かなかった髪が頬にかかる。


似合う人を選ぶその髪型も、彼にかかれば一つの芸術品のようで。


ただならぬ色気と、それ以上の重圧感。


彼の纏う無明の闇に、ただ呆然となった。


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