PURPLE Ⅰ【完】

いつの頃からだろう、起こってもいない未来を心配するようになったのは......


自分と社会の立ち位置を考えるようになったのは......


『それが大人になることだよ』と、保さんは少し寂しそうに教えてくれたけれど


小さい頃の私は、すべての人間が平等に明日が訪れると信じていなかった。


数時間後の死の可能性を信じていた。


“ヨアケノコナイヨル”の世界も


“フリヤマナイアメ”の存在も


無いと言い切れるほどの、純粋無垢な子供ではなかった。


でも今は起こってもいない未来を心配し、明日が必ず来るものだと疑うこともしなくなった。


だとしたら私は、平和ボケしたつまらない大人になってしまうのだろうか?


「何も考えずに遊びに来れる場所があるのも素敵だね」


「ああ」









「それでは楽しい夜に致しましょう」


再びロイがグラスを持ち上げる。


──乾杯とともに長い夜が始まった。



0
  • しおりをはさむ
  • 1329
  • 5725
/ 314ページ
このページを編集する