PURPLE Ⅰ【完】

第4章 /責務

「お嬢をお連れしました」


スキンヘッドを磨き上げた男が襖の向こうに声を掛ける。


許可の声はなく、スッと開けられたそこから鋭い目つきの男が現れた。


サツキの花が賑わう料亭に似合わない男の存在も。


虫一匹通させない警戒色強い男達が連なる廊下も。


アオから聞いた通り、一之瀬の緊張の度の高さを示していて。


「おー朱織。こっちだ」


そんな中でも胡坐をかき堂々と構え、雑魚が何人束になっても敵わない圧倒的オーラを出すお父さんが手招きする。


「お待たせしてしまい、すみません」


「なに、可愛い娘に待たされるのは悪くねえ。それにワシはデートで女性を待たせるのが嫌いでな」


ハッハッと笑うお父さんの傍により酒をお酌する。


お父さんは目を細めながらオチョコを口に運ぶと一口で飲み干し


「ああー旨い。朱織も座ってワシからの酒を受けろ」


向かいに座り直し、オチョコに注がれた酒を飲み干し頭を下げる。


「お父さん、今夜は時間を頂き有難うございます」


「水臭いぞ。ワシは娘とのデートが嬉しくて、ここまでスキップして来たんだ。堅苦しい挨拶は無しだ」


その言葉に反して、座敷には数人の男達が四方を固め。


足を崩すことも許されない、固い空気が流れていた。

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