PURPLE Ⅰ【完】

第4章 /告解

「ワシと会長の昔話をしたいんだが?」


伺うように尋ねるお父さんに『はい』と答えると、『外れろ』と部屋の男達を払い外に出す。


「ワシにとって会長は恩人なんて言葉じゃ尽くせない方でなあ」


「はい」


「ワシは若いころ、お嬢付を任されていたんだ」


「お嬢付?」


「会長の娘、花香お嬢の付き人のこった」


「……」


この話にママの名前がでるのは予測できていたのに…動揺してしまい。


「会長は今は亡き奥様を、そりゃ愛してらっしゃってな」


「……」


「ただ奥様は身体が弱く、入退院を繰り返していてな。一人娘の花香お嬢に寂しい思いをさせないように、神経を使って大事に、大事に…大事に育てていた」


「……」


お父さんの頬がほころび、当時を思い出すその表情は、宝物でも愛でる感じで。


「ワシにとっても天使のようなお嬢を傷つけないように…」


──────....
───....


お父さんから聞かされるママの話が全く違う人間の話のように聞こえ。


それどころか大正時代の小説を読んでいるかのように、随分とかけ離れ現実味の帯びないおとぎ話をボンヤリと聞き。


でも心の中に広がる波紋を感じていた。


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