PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /Rot

「いらっしゃいRot!」


「あれ、響子(きょうこ)さんまだ?」


マスターに声をかけ、いつもの席に座る。


「えっ、響子来てないけど。事務所寄らなかったの?」


「んー撮影終わり直でここ来たからね」


所属するモデル事務所は、ここからすぐのビルに入っている


「また一人で撮影行って。いい加減マネージャーつけないと危ないよ」


あきれ顔のマスター。


「マスター大げさ。学校休みに活動するぐらいなのに......」


「はぁ~まったく自分の人気の凄さをわかってない」


ブツブツ言いながらカウンターに戻る。


心地よい音楽が流れる店内。


路地から少し奥に入るとあるこのCAFEは、人目に付きにくいらしくいつ来てもお客が少ない。


経営状態が心配だけど、平日のランチ時にはハンバーグランチ目当てで行列ができるらしい。


「はい。どうぞ」


目の前に置かれたロイヤルミルクティー、優しい味が口の中に広がりホッとする。


「それにしても響子遅いね。Rot 連絡入れた?」


「んーいいよ、忙しい人だから。それにこの後予定もないからね」


モデル事務所の社長をしている響子さんは、いつも忙しそうで。


「なに!! いい若者が休日に予定がないなんて。どれどれ、ここはこのオジサンが大人のデートってやつを......」


『パッコーーーンンッ!!!!!』と盛大な衝撃音とともに現れた響子さん。


「おまたせRot」


「たいして待ってないけど......マスター大丈夫?」


「こいつ?平気平気、気にしない。
ほらっ、いつまでも蹲ってないでコーヒー持ってきてよ!」


いや…響子さん


全然マスター大丈夫じゃないよ?


まだ立ち上がってこないよ?


涙目だよ?


響子さんとマスターは幼なじみ。


響子さん曰く『そんな可愛い間柄じゃない、腐れ縁ってやつ?』らしいけれど...


『客にナンパしてたって嫁にチクるよ』と脅されると、マスターは涙目のまま頭をさすりカウンターへと戻る。


マスターファイト……


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