PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /一之瀬組

「姫、もうすぐ着きますよ」


結局ロイは私からの質問に答えることなく、ロイ劇場は終焉となり。


あの質問の答えが気になるところだけど


あれ以降終始ご機嫌でハンドルを握るロイに、アンコールを求めるなんて恐ろしくてできず。


「正面に見える建物です」


前方に目を移すけれど、先に見えるのはオフィス街にあるようなビルにしか見えない。


『あれ?』と確認する。


「はい。そうです」


「あれが家なの?」


よほど間抜けな顔をしていたのかロイはクスクス笑いながら


「家といっても地下1階から地上3階までは、組事務所の本部として使用しています」


本部にしても4階丸々組事務所って……


普通のオフィスのように、総務とか営業とか各部署ごとにフロアーが分かれているなんて……まさかね?


「その上は?」


初めて大きなホテルに泊まって部屋中の扉を開けたり、ホテル内を探検するかのように興味がつきず。


「姫…かわいい……」


「えっ?」


「いえ。組事務所から上は住み込みの組員部屋、食堂、大浴場にサウナ、あとジムやプールもあります」


「プール!?」


「彫り物している組員達は、素人さんが利用する施設は無理ですからね」


「そう.....なんか辛いよね。自分自信を否定されているようで」


「ええ...そうですね」


優しく微笑むロイ。


ヤクザと呼ばれる人と接したのは、あの見合いが初めてといってもいいけれど


恐怖と悪の象徴の彼らが、何故この道を選んだのか、選らばなければいけなかったのか思い合わせるのは無理だけど


彼らからは一様に覚悟を感じた。


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