PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /奪われた唇

視界一杯に広がるリビングらしき空間。


玄関から続く白い大理石の床に、高級感溢れる黒革のソファー。


壁に掛けられた何インチか見当つかない大きなテレビ。


壁一面の窓からは、雨が降っているのにも関わらず光が差し込み、いくつも飾られた胡蝶蘭を明るく照らす。


奥にはバーカウンターも見え、高級なブランデー、希少価値がありそうなワインがクーラーに並び。


ここ……本当に家なの??


「どうした朱織?こっちにこい」


京悟さんの声で我に返る。


彼はソファーに座りタバコを吸っていて。


今日は髪を結ばず軽く後ろに流し、ジャケットを脱ぎ、シャツの胸元と手首のボタンを外し


私をみつめる……


相も変わらず妖艶な色気と、強烈な存在感を存分に放っていて。


「朱織」


彼にもう一度呼ばれソファーに近づけば、フッと京悟さんは口角を上げ


「見合いの着物姿も似合ってたが、そっちの方が......よく似合う」


一瞬ロイの『おいしそう』を思い出し焦る。


「ありがとうございます」


お礼をしてソファーに座ろうとすると突如手首を引っ張られ。


「どこに座る。もっと近くにこい」



0
  • しおりをはさむ
  • 1323
  • 5713
/ 314ページ
このページを編集する