PURPLE Ⅰ【完】

きつく抱きしめられ、初めて触れた彼は見た目以上がっちりとしていて、タバコと彼の香りで私を包む。


「お前、いい匂いするな?」


「えっ?」


「朱織から、いい匂いがする」


首筋で喋るからくすぐったいけど、抜け出そうにも強く抱きしめられていて……


「撮影で使用したボディクリームの匂いだと思います」


「......」


「あの...そろそろ離して下さい」


「悪かった」


「えっ?」


悪いと思うなら離してくれてもいいのに、ますます腕に力を込められ。


「迎え、わるかった」


「大丈夫です。気にしていませんから」


「......」


「あの...京悟さん?ほんとにシャツに化粧がつくので」


最後まで言い終わる前に、京悟さんは腕の力を緩めてくれて


膝の上から降りよう


そう思った刹那…────


奪われた唇。


犯される咥内。


拘束された身体。


────… さすがに焦る。


京悟さんとは結婚を約束しているから可笑しくはないけれど


一連の手慣れた彼の行動に一緒に流されるほど、京悟さんに思いが在るわけでもなく。


「んっ...んんっ...」


抗議の声を出すけれど、それでも彼は容赦なく


唇を解放してはくれない……

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