PURPLE Ⅰ【完】

第1章 /弟

「さあ、どうぞ」


案内された応接室はリビングと違いクラッシックな部屋で


フローリングの床にひかれた重厚なラグ、テーブルを挟み置かれた高級感たっぷりの猫足のソファー、アンティークのキャビネット──


ヨーロッパを感じさせる素敵な部屋に目を輝かせる。


「失礼します」


現れた見知らぬ男性。


「初めまして、弟の右京(うきょう)です。いや~兄さんが羨ましい。お見合いで、こんな可愛い方と出会えるならボクもお見合いしようかなぁ~」


求められた握手に応じると、握ったままで手をブンブン上下に振りニコニコ微笑む右京さん。


ウェーブがかかった上品な茶髪、黒ブチのメガネの奥にみえる少し垂れた大きな目


ブラウンのスーツにサックスブルーのシャツ、お洒落なビジネスマンにしか見えない彼が京悟さんの弟?


なんだか毛色違いの弟登場に戸惑っていると


「右京、いい加減手を離せ」


「いやだなぁ~兄さんヤキモチ?」


そう言いながらニコニコして。


右京さんもヤクザなんだよね?


余りにもジッと見てしまい慌てて『ごめんなさいジロジロと。初めまして高木朱織です』と挨拶すれば


「まいったなぁ~そんなに見つめられると姉さんに惚れちゃいそう」


片手を頭の後ろに当てニコニコ笑う右京さんは、やっぱりヤクザだとは思えない可愛い男性で……


「さっさと座れ」


京悟さんの呆れた声で席に促され


ドアマンの彼、由利さんだけが両手を後ろに組み立っている。


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