PURPLE Ⅰ【完】

第2章 /幸せの象徴

「なに…この部屋?」


今日から新しい街、新しい家…


引越し準備、モデルの仕事、保さんと暮らしてきた家との別れの感傷にひたる間もなく今日を迎え。


あの日の約束通り、私や保さんが何を言っても一之瀬側がすべてを用意してくれた。


だから……どんな家でも、どんな部屋でも不満は口にしない。


そう決めていたけれど……


「朱織殿やはりヒキましたか…」


部屋のドアを開け呆然とする私に、悟ったように声をかける由利さん。


「いえっ、ヒクって…まあ引いているんですが…なんて言ったら…」


「……わかります」


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