PURPLE Ⅰ【完】

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寝室のドアを開けたまま呆然とする私に届いた音。


初期設定のままの着信音は、やはり由利さんの携帯からで


飾り気ないその音は、とても彼に似合っている。


一瞬の間ののち『あーなんだ』と電話に出る。


「んっ?ああ…固まっている」


それだけ電話で話すと、深いため息とともに差し出された携帯。


首を傾げる私に『ロイドからです』


ロイ!?


不思議には思ったけど、渡された携帯をとり耳にあてる。


「姫~ロイドです。最近お会いしていないので夢にまで姫が出てきて……年甲斐もなく朝から大変なんです」


一言も発していないまま、一方的にセクハラ発言を聞かされ……


……脱力感に苛まれる。


「ところで姫、寝室は気に入って頂けましたか?」


「えっ、これってロイが?」


電話で話をしているのに何故か指をさし確認する。


「はい、そうです。テーマは……
『吸血鬼に襲われる乙女の部屋』といった感じでしょうか」


もう、なんもいえねぇ……


「実は希望では、天井と西側の壁は鏡張りにしたかったのですが」


「かがみ?」


「はい。
悶え乱れる姫が鏡をみて興奮する、それを想像するだけで、わたくしの中心部分が熱く......『ピッ!』 」




……彼との絡みは非常に疲れる。


許可なく電話を終了してしまったことを詫び、再び目の前の部屋を観察する。

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