PURPLE Ⅰ【完】

第2章 /毒巣

春休み中の街は若者の姿が目立つ。


基本、制服姿を除けば気軽に写真や握手の求めに応じるものの、今日のように頻繁だと疲れてしまい、逃げるように路地にへと進む。


保さんとの待ち合わせのため、マンションの庭からみえた街へと下りてきた。


この街を訪れるのは初めてだった…


いや正確には、この街のベイサイドエリアは撮影でよく訪れていた。


オシャレなショッピングモールが建ち並び、星付きのレストランやホテル、ロマンチックな港、


雑誌のデートスポット特集も頻繁に組まれ、多くの若者や観光客で賑わっている。


反対に、ずっと奥へと入ったこの辺り一帯


大通りに面した通りには、オフィスビルやオシャレなショップが軒を連ねてはいるものの、一歩路地に入ると雰囲気が一変する。


夜の店がビルの看板を占め、暗海のような路地裏には、風俗やラブホテルが軒を接している。


道端には、精気の欠片も無い若者がニヤニヤと座り込み


派手な身なりの外国人が、男性客に売り込むために纏わりつく。


同年代の若者たちは、悪びれることなく売人から買い求め


また、その費用にするためかオヤジに媚を売りホテルへと消える。


ベイサイドが言わずと知れたメジャーなら


こちらは有象無象が集まるアングラな街。

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