PURPLE Ⅰ【完】

漆黒の髪から疑いと嫌悪の眼差しを私に向け。


「こんなガキの女に何ができる!兄貴の足引っ張るだけだろ!」


「言いたいのは、それだけか隼」


「……」


心服させてしまうお父さんの落ち着いた声色に、部屋が縛られる。


「では聞くが隼…お前はなんだ?」


「なんだって?」


「ワシは、ここに座る朱織より、お前のほうがずっとガキにみえる。
言いたいことを叫ぶお前は、さぞかし気持ちがいいだろうな?」


「……」


「だが、お前は何もわかっちゃいない。なにも見ようとしない。なにも感じようともしない。
ただただ、ガキのように当たり散らかすだけのお前に、朱織を咎めることも蔑むことも唯の一つも、この一之瀬昌樹が許さねえ……憶えておけ」


自分のことで揉めているのに、ただ重く圧し掛かる空気に耐えるだけだった。


隼くんは返事をすることなく、立ち上がり止めようとする私の声を無視して部屋を出て行く。


「しゅーちゃん気にしないで、隼は自分一人がカヤの外だったのが気に入らなくて拗ねているだけだから」


右京さんの慰めで、椅子に座る私に横から手が伸びてくる。


「朱織気にするな。あとからオレもアイツによく言っておく。
オレがお前を選んで、お前がオレを選んだ……それ以上でも以下でもねえ」


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