この想いはきっと せいいっぱいの、初恋だった。【完】

epilogue










epilogue






















「っ、……、」

「……あ、……っ、」




声にならない男たちの呻きが、力なく空いた口からこぼれる。


脚の長い椅子に縛られた男の右腕は、ごとり。
単なる物のように。

マグカップやお皿、感情や痛覚のない無のように落とされた。




また、その椅子の脚に縛られた男の左足も、同じように。

ごとり。




単なる物のように。
引き出しや宝箱の蓋のように、簡易に切り離された。




フローリングにしたり落ちる膨大な血の量は、暗い暗い部屋の中を埋め尽くすよう。広がっていく。







もう、床に倒れた2人の女の息は繰り返していない。

似たような首に、似たような痣をまとわりつかせて。

乱れた衣服を正すこともなく、正されることもなく、事切れていた。







「やめ、ろ…………」

「…………ふた、り……に、……は、」




そして。
とうとう。



最後の力を振り絞ってまで、重く首を横に振った。
右腕のない男、と。

最後の力を振り絞ってまで、焦点など合わない瞳をギラつかせて睨んだ。

左足のない男、も。




荒く繰り返していた呼吸を止め、その場で項垂れる。







「あーあ。死んじゃった。」




それでも。

女2人の首を絞めた太い縄ロープを肩にかけ、男2人を絶命に追い込んだのこぎりを投げ捨てた張本人は、笑っていた。







部屋の片隅。
壁に背中をつけて。
くっついて。
寄りそって。
手をつないで。
震えて。




「ま、ま………ぱ、ぱ…」

「と、う、さ…………かあ、さん、」




目の前の光景。

残酷な現実を目撃し、落ちる涙を止められない子どもたちの前にかがんで。







「呆気ないよね。人間って。所詮。」




とても、たのしそうに。
わらって、いた。






0
  • しおりをはさむ
  • 27
  • 351
/ 109ページ
このページを編集する