at last

9月は扮装し、 /"豹"を追う者"色彩"を見ず

side:――









「――――昨日はお疲れさん」




人気(ひとけ)のない廊下に集まっていた数人に、不意に労いの言葉をかけられた。



彼らはその声の主を見とめると、誇らしげな表情を浮かべる。



その一言で無事に役目が果たせたことが伝わった。




「あとはあの人がちゃんと"野暮用"を済ませられればオーケー。どう?千早の引きとめは難しかった?」



「千早さんは疑り深いんですもん。フツーに警備の質問して、どこがオススメか一方的にしゃべりまくりました」



「テンション上がり過ぎって言われてたもんなお前」



「るせー」




どうやら作戦通りうまくいったからか、本当にテンションが上がっているらしい。



楽しそうな彼らを眺める彼もまた、楽しそうだった。




「そんで、俺らはいつ抜ければいいんスかね?」



「さあなー。でも俺がバレたらお前らもマズイだろー?」



「そうっスね」



「こっそり転校しようにも空きがないんですよ」



「白沢は?」



「ケイさんじゃないんだからムリですよ。頭悪いんで俺ら」



「そこはまた相談かなー?」



「そうですね」



「てかケイさんそろそろ戻ったほうがいいんじゃ……?」



「あー今日は単独で見回りなんだよね」




ケイと呼ばれた彼がにこにこと答える。



一方それを聞いた彼らは驚きに目を見開いた。




「……何考えてんスか黄鶴は?」



「どーりで特に指示がないと思いましたよ」



「よほど"一年前"のことを隠したいらしいんだよねー。自分たちでケジメつけるつもりらしい」



「バカですか?」



「バカだねー」




昨日の琥珀の言動から今日何か仕掛けてくる可能性が高いというのに。



黄鶴は単独行動の指示をした。


それも、幹部だけに。




「そーいうわけで今日も頼むよー。万が一にもあの人と千早に人を近づけさせないでね」



「「「了解です」」」




そしてその頃、何も知らない彼は。



この校舎の片隅で、再会を果たしたのだった。








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