at last

皐月は夢想し、 /Time flies.








"一年前のこと"を語るには、俺の育ちから説明したほうが良いだろう。




ということで、少々長くなるが俺の話に付き合ってほしい。


俺は頭が良くないから、うまく言えないかもしれないけど。




まずは自己紹介かな。




俺の名前は、早乙女皐月(サオトメサツキ)。




周りが異様に優れてるから一応言っておくと、俺はすごくない人間だ。


例えばテストでは赤点だし教師は怒らせるし、放課後はゲーセン行って小遣いを使い果たすような、どこにでもいる学生。



それが俺のすべて。



平凡でしょ?





そう、俺はどこにでもいる人間。




それは初めから決まっていたことだった。




幼いときから。





海外での仕事に忙しく単身赴任中の父がいて、パート働きする母がいて、一人っ子の俺がいる。



住んでいるのは2LDKのマンション。


俺が大きくなったら引越しを考えるくらいには狭かった。



両親は俺がいかにバカであろうとも叱らなかった。常に尊重してくれたし、間違っていることはどうしてダメなのかまで教え諭してくれる人たちだった。


十分すぎる愛情を注がれていた。



俺はバカだから気付かなかったけど。



それが当たり前で。





時々父が帰ってくると、家族三人で遊園地にいったり外食したりする。



だから基本母と二人暮らしだった。



俺の世界はそれで当たり前だった。





―――――日常は脆く崩れ去る。








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