お女ヤン!!8【完】




現にだんだんと、歯車が狂っていく音がする。あたしはそれを望んでない。





「ね、止めよう。今回はやめよう。せめて違う時にコッチから向こうに内緒で出向くとかさ。ねえ、斉藤さん。止めるべきだと思う。ほら、それにあたしにも色々準備があるし」

「集まりは3週間後ですよ。充分間に合います。ドレスもなにもかも全て、上等なのものを手配しますよ」

「……い、嫌だ」



掴んでいた斉藤さんのスーツごと、揺らす。斉藤さんの眼鏡が少しずれた。




「嫌だ。あたし行きたくない。い、行かんぞ!行かん!」

「珍しいですね、お嬢様が綾瀬のためになる事を拒否するなんて。この手紙は綾瀬の家当てでしょう?社長はご都合によりこの日程だと参加できませんし、庄司様も今は跡継ぎ放棄で除外されています。残っているのは、お嬢様しかおりません」

「………」





あたしの膝から落ちたブランケットを今度はあたしの肩にかけ、斉藤さんが媚薬のように甘い声で囁く。




「大丈夫です。私も行きます。お嬢様の秘書として」




婚約者兼、まだ自分は綾瀬の秘書だと言いきる斉藤さんがあたしの髪をひと束すくい、口づけを落してからひざまずく。



そのまま、まだあたしの震えている指先ごと、手のひらで包み込んだ。






「俺が必ず、あなたを守りましょう」




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