お女ヤン!!8【完】





「綾瀬のご令嬢が、追いかけられているというご連絡をいただいたのですが」

「そうですか。大変だな」



確かにそれは本当だけどな。現に、俺がいるこの場を曲がった先の部屋で、今頃千里たちとどんちゃかやってんだろうが。


まあ、俺には関係ねえ。とりあえず俺は“近づかないよう”見張ってるだけだ。



ゴソゴソと、手あたり次第にポケットを漁りながら首を傾げる。ああ、くそ。本当にめんどくせえ。



「すみません。ライター置いてきたみてえなんで。持ってたら貸してもらえませんかね」

「…田中さん。少し警備室でお話を」

「おいおいおい、俺は怪しいもんじゃねえぞ」



なんでこうなった。タバコを口の端にくわえつつ、顔の前で手を横に振る。



だけど警備の奴等は疑心に満ちた目で俺を見てくるばかりか、どこかに連絡をとろうとしている様子までうかがえる。おい。



「待て待て」

「いえ、すぐ終わりますのでお話を」



そう言う警備の1人を除いた残り数人が、俺の横をすり抜けて奥の部屋へ行こうとする。



俺はくわえていたタバコ握りしめ、警備の肩を鷲掴んで止めようとした……が、予想外に力が入っちまったらしい。




「痛い!」

「あ、すまん」

「田中さん!警備室までお願いします!」

「だーから、俺は怪しいもんじゃねえ。遠慮します」

「警備室まで!」

「遠慮するっつってんだろうが!!!」

「……」

「あ」



……しまった、つい。いつもウルサい新人を容赦なく相手にしているせいか。力の加減を忘れていた。ちなみに怒鳴り声も自重できん。



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