お女ヤン!!8【完】

番外編 /skirt



白百合の大きな鐘がゴンゴンと鳴り、学校が終わる合図をお嬢様たちに届け知らせた頃。


あたしはトントンと教科書の端をそろえ、嫌味なほど艶々した指定鞄の中にそれを入れていた。




「ミホ、今日はすぐ家に帰るの?」

「ううん」



クラスの中にいる全てのお嬢様たちが、上品に包まれた笑顔を互いに交わしていく中、美春があたしに問いかける。




「今日は南に行ってくる」

「そう。迷惑かけないようにするのよ」




窓から顔を出して、下に広がる花壇に咲き誇る鮮やかな花々を見ながら美春がそいういうもんだから―――――おいおい、ちょお待てやネーチャン。



「美春、」


あたしは周りに人がいない事を念入りに確認し、


「ちっちっち。その解釈は間違ってる。明らかに君は間違ってる」

「ちょっと、人の肩そんなに強くつかまないでよ!痛い!」

「おおっと、これは失敬」



やだやだ。常日頃、南の野獣たちと接しているせいか女の子に接する手加減がいまいちわからない。



このままじゃあたし、明らかに男街道まっしぐらなんですけど。由々しき事態なんですけど。綾瀬ミホならぬ‘綾瀬ミオ’になって男と化すんですけど。



「とにもかくにも、あたしが迷惑かけないようにする、なんて大間違いさ美春。だってあたしは南の保母さんなんだよ、我が与四郎保父さんの1番弟子、綾瀬さんなんだよ。ま、言うなればあたしは南の野獣たち、あ。ひなた君と与四郎さんはおいといて。その中に咲き誇る可憐な―――――そう。清らかな一輪のバラなんだよ。あんな野獣の中にこんなか弱いビタビタした乙女がいるなんて――――」

「あー。あそこの花、いい色に咲いてるわ」

「ち、ちょっと、あたしの話ちょっぴりでもいいから聞こうよ!」

「アンタの頭も綺麗に咲き誇ってるわね」



え。なに美春。

それ、遠まわしにあたしの頭おかしいって言ってんの?ちょ、待て待て。あたしたち親友だよね?

2巻での2人の出会いの場面とか、超いい感じの名作劇場だったよね?



おかしい。ここにきてさらにあたしの株が下がっている。なんてこったい。



あたしは若干よろめきながらも、自分の携帯をなげやりに見つめた。




どちきしょう!今に見てろよ、いつか《あらミホ。あなたってお花さんのようにキュートね》とか言わせてやるからな!


0
  • しおりをはさむ
  • 20679
  • 5208
/ 464ページ
このページを編集する