お女ヤン!!8【完】

★8 /結べない糸











――――――――先月。
白百合の生徒会長が去った後。







***








「ミホは!?」





助手席のドアを壊さんばかりの勢いで開けて飛び出した星野宮さんの後を、あたしも追った。




隣街の駅のホームについて中に入った直後、大声でそう言った星野宮さんの声。




今朝南校に乗り込んで、千里たちにミホの事を頼んだときは、焦りはあまり見せなかったけど。




やっぱりそれは強がりだったんだろう。





自分の隣で不安そうな顔でホームを見渡している彼女を見れば、容易く分かる。






空は橙がたちこめている。




ホームには千里たちが、いた。




そしてあたしの姿を確認した与四郎が、





「麻耶、きたのか」

「あの子は?」




与四郎に名前を呼ばれた“麻耶”。その重苦しい声を聞いて、自分の肩に不安がずしりとのし掛かる。





星野宮さんは改札を抜けてホームにきてから、千里たちの姿なんて欠片も視界に入ってないみたいで。



ベージュに染めた明るい髪を揺らしながら、視線をめぐらせている。






黒髪のあの子の姿を。





あたしは短い自分の髪の毛を耳にかけながら、深く深呼吸した。





辺りを見回す。




真鍋と孝広たちは、その場に立ち尽くしていて。



与四郎はなんで持ってるのかわからないけど、白百合のネクタイを持ってる。それを苦々しく握ってる。



ひなたは自分の隣を通りすぎていく女の人にも気がつかないほど、呆然としていた。



葵は相変わらずで、タバコの煙をスパスパと吐き出していく。だけど心、ここに在らずな表情。






そこでもう1度、深い深呼吸をしてみる。




自分の指先が冷たい。




星野宮さんが向かい側のホームに移動しているのが見えた。駅の中を全て、探し歩いているみたい。




その姿が、苦しい。





多分。



あの子は向かいのホームはおろか、この駅には、この街には、もういない。



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