ナマケモノに夜《完》

第2話 手にとるように死ね /誰が見てもくびれはない





遠山が佳織先輩にフラれた後、俺と勇人達は遠山を慰める為に連日連夜団地に集まり酒盛りパーティーを開催した。



夏休みがあけた頃には全員何キロかずつは太っていて、翔平なんて7キロも肥えやがった。

何やってんだアイツ。




そうして2学期が始まったばかりの頃の事である。俺が美術部の女子に告白されたのは。




彼女は大人しい感じで、どっちかという訳もなく地味だった。


その時俺は、校内の自販機の前でジュースを選んでいた。



失恋したてのどっかの馬鹿が夏休みの課題を忘れて、担任に50枚も課題プリントを出されていた上に「手伝ってくれよー親友」と泣きつかれて、仕方なく放課後の図書室で缶詰をくらっていたのだ。


つまりは巻き添えだ。




で、喉が乾いたので自販機に潤いを求めにきたら、告白された。




「あの、好きです」



常套句なようなそれを言われ、俺は内心かなり驚いていたので持っていた小銭を地面に落としそうになっていた。



……すげぇ、俺今告られてるよ。

しかも放課後に告白とか、どんだけ青春だよ。


窓から夕焼けの淡い光なんかさしちゃってるよ。おい、マジか。うあー。俺はちょっと浮き足たっている。




その子は俺の3つ隣のクラスで、同じ1年生だと言った。




「そうなんですか」

「入学した時からずっと、いいなと思ってて」

「俺目立った事ないですけど」



同学年のくせに、初対面だという認識の方が強くて敬語が抜けない。

だけどそれは彼女も同じようだ。




「そ、そうかもしれないんですけど。私はいいな、と思ってて」しどろもどろになりながら答えている。



俺は「そうでしたか」頷きながら、とりあえず自販機に小銭をいれて、コーラとccレモンの500㎖のペットボトルをそれぞれ1本ずつ買った。


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