ナマケモノに夜《完》

第2話 手にとるように死ね /誰にもわかってもらえない男同士の友情



アダルトビデオに出始めるようになったきっかけは、出演する筈のAV男優の都合が悪くなった事がきっかけだった。



俺はその時一応は中3で、父親の仕事が世にいう“AV監督”という事は知っていたけれど、それに対して悲観的に思う事はあまりなかった。


生きて行く為には仕方のない事だし、父親の撮るビデオは、その手の業界でも群を抜いていたらしかったので、むしろ「すげえな、ヒゲ」と褒めた程だ。



それまで俺は何度かそういうビデオを友人と観た事はあった。父親が撮ったものを観た事もある。


親父は俺達が住んでいる団地の空室を撮影現場として借りていた事もあったので、カーテンや布や、アングルで上手く隠しているけれど、住人の俺にはすぐにわかった。


「あ、これ俺の住んでるところじゃないか」と。



その日は若い新人女優が出演するものだった。


所謂学生もので、衣装はセーラー服と、ブレザーがそれぞれ用意されていた。その女優の相手役が俺の初めての仕事だったのだ。



顔は映らない。小遣いもあげるから、代わりに出てくれと親父に頼まれて、俺は少し悩んだ挙げ句「まあいいかな」と安直に思って了承した。


顔映らないで、気持ちいい思いできるなら別にいいんじゃない。小遣い貰えるんだし。


実にシンプルに考えていたのを、今でもよく覚えているし、本物の女優(AVだけど)に会うのは初めてだったから、徐徐に緊張していった事も覚えている。



あと、15歳の俺には当たり前の如く経験がなかった。


だから父親はその新人女優に、俺の筆下ろしをお願いし、ついでに色々伝授してやってくれと時間をくれたのだ。


今考えずとも、すげー父親だなと思うけど、何度も言うようにこれは仕事なのだ。



仕事。
ジョイ。
ギブ&テイク。


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