♥の女王と冷たい番犬

game 3










  

♦︎俺の悩みは、休日の朝からはじまる♦︎







「ちょっと千春うぅぅ」




 最悪な朝のはじまりに、おはよう。そして死んでくれ主人。


 俺はキッチンに現れた主人を見るなり、まな板の上にあったニンジンをぶん投げた。




「痛い!なにすんのさ千春……あらやだ、このニンジンちょう新鮮じゃん?」



 あたり前だろ、オマエに食わすんだからいいもの買うよ、そりゃ。




「朝から気持ち悪い声で俺の名前呼ぶなよ」

「失礼千万!気持ち悪くないよ」

「いや、気持ちが悪いよ」

「嘘……そんなマジなトーンで言っちゃう感じ?ガチな感じ?そりゃあ、あたしの声って女の中では低い方だけど」

「別に、低い声が悪いって言ってるんじゃないんだけど」

「なーんだなんだなんだ!それってつまり、あたしの声が好きってこと?やだねえ、千春くんってば。おほほほほ」

「…………」




 こいつと会話してる自分を10時間ぐらい兄貴に褒めて、頭を撫でてほしい。そうしたらこの苦行も耐えられるのに。



 俺は高笑いしている気持ち悪い主人を無視して、包丁を持ち直した。
 



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